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石田干城(助教)(2ページ) 分子研リポート2012 | 分子科学研究所

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研究領域の現状 157

石 田 干 城(助教) (2004 年 11 月 1 日着任)

A -1).専門領域:理論化学,計算化学

A -2).研究課題:

a). 溶液内光励起反応過程およびエネルギー移動過程に関する理論的研究 b).分子動力学法によるイオン液体の動的挙動に関する理論的研究

A -3).研究活動の概略と主な成果

a). これまでに提案,改良・発展をさせてきた時間依存形式の R I S M - S C F 法と組み合わせて溶質分子の電子状態に関す る時間依存変化を記述する方法を溶質分子としての色素分子の光励起電子移動反応プロセスなどの研究に応用し, 光励起後の励起状態におけるフェムト秒オーダーでの超高速電子移動反応プロセスや溶媒和過程の解析を可能にし てきた。その結果から,短パルスレーザーを用いた分光実験による報告例との比較からも,分子内電子移動反応に 必要とされる時間の見積もりと非常によい一致が見られることが示された。加えて,励起状態での電子移動反応過 程について従来から提唱されてきている分子内構造変化が起点となる反応過程とは異なる,分子内での電子移動反 応が構造変化に先だって起こる過程が存在することも初めて示された。これらの提案された方法論をさらに,光励 起によって引き起こされる生体分子や遷移金属錯体内でのエネルギー移動の問題へと適用すべく,さらなる方法論 の拡張に取り組み,時間依存形式での定式化へと進展しているところである。

b).イオン液体中の構成分子である陽・陰両イオン分子間の相互作用とそれが引き起こす動的挙動の関係について理論 化学的,及び物理化学的側面より研究を進めてきている。分子レベルでのイオン間相互作用の理解に重点を置き, 分子動力学シミュレーションの手法を用いてイオン液体中における陽イオン,および陰イオンの挙動に関して解析を 行い,イオン間相互作用の特性についての研究を行ってきている。研究結果から,イオン間相互作用は多体効果によっ て生じる分極効果によって大きく影響されることを始めて示し,さらに陽・陰イオンの相互相関を調べることにより, イオン液体中ではいわゆる「かご効果」は分極効果によりその影響の度合いは小さくなることが見出され,イオン液 体中でのイオン分子の挙動を制御している原因の一つとなっていることも明らかにした。さらに,イオン液体が示す 特有の挙動の一つである室温付近でのガラス性挙動に関連して,動的不均一性などの研究を長時間シミュレーショ ンの結果をもとにした解析により進めているところである。これらの研究成果と実験データとの比較・検討も通じて, イオン液体中でのダイナミックスの詳細についてさらに研究を進めているところである。

B -3). 総説,著書

T. ISHIDA, “The Unique Physical and Chemical Properties of Ionic Liquids through Interionic Interactions: Theoretical Investigation with Molecular Dynamics Simulations,” in Handbook of Ionic Liquids: Properties, Applications and Hazards, Mun, J. and Sim, H., Eds., Nova Science Publishers Inc.; Hauppauge, NY, pp. 395–417 (2012).

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158 研究領域の現状 B -10).競争的資金

科研費特定領域研究(公募研究)「溶液内光励起反応プロセス,. と溶媒効果」,.石田干城.(2007年 ).

科研費特定領域研究(公募研究)「溶液内光励起反応プロセス,. と溶媒和ダイナミックス」,.石田干城.(2008年 –2009年 ). 科研費特定領域研究(公募研究)「分子動力学法によ,. るイオン液体の理論的研究」,.石田干城.(2008年 –2009年 ).

科研費基盤研究 (C ),.「分子内及び分子間エネルギー移動を起源とする光機能発現の理論的解明」,.石田干城.(2011年 –2013年 ).

C ). 研究活動の課題と展望

本年度は溶液内での光励起後の分子内電子移動反応の解析のために提案してきた方法論の精密化と,エネルギー移動過程 の解析のために必要な方法論への拡張とイオン液体中でのイオン間エネルギー相関に関する研究への応用,及び,ダイナミッ クスの分子動力学法による解析などを中心として研究活動を計画し,行った。溶液内励起状態での分子内電子移動反応の 研究では理論的方法の拡張により計算効率を改善し,生体分子や遷移金属錯体分子のような比較的大きな分子を対象とし た研究にも応用することを可能にし,多くの知見と進展を得ることができた。本年度から新たに取り組んでいるエネルギー移 動の問題への方法論の拡張・精密化とイオン液体中でのイオン間エネルギー相関を含めて,さらに展開をしていきたい。ま たイオン液体の動的挙動の研究に関しては,イオン分子のダイナミックスを解析する方法も発展させることができて,イオン 液体の本質的な理解に向けて理論研究をさらに推し進めることが可能となった。今後,より広範な種類のイオン液体につい ても統一した視点から物性などを理解できることを目指し研究を進めていきたい。

参照

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